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​平成三十年具注暦

​平安・中世を刻んだ暦、ここに復活。

―すべての古記録はここに書かれたー。そう言っても過言ではないほど具注暦は数多くの古記録の料紙となってきました。現代で古記録に憧れる者として、今この時を書き記したい、そう思ったとしても今や具注暦は無く、「 暦に書く」という行為は今や不可能です。そんな無念さから、「 無いならば作ってしまおう」と思い立ち、古様そのままの具注暦を復刻させることにしました。

 各種暦注はかつての具注暦の方法をそのままに、唐代成立の「 大唐陰陽書」に基づき復元。そしてより現代での利便性を図り、暦法は太陽暦としました。

2018年、再び具注暦が蘇ります。

​摂関期の具注暦、千年以来の復活を目指して。

具注暦は常に変遷を繰り返してきました。その中から平成三十年具注暦ではその中から、御堂関白記、小右記、権記らの料紙となった、摂関時代の具注暦をモデルに製作を進行。比較検討はもとより後述の装丁や文字に至るまで徹底的な研究を行い、摂関期の具注暦を千年ぶりに復元します。

​御堂関白記 寛弘五年下巻 (陽明文庫蔵)

​文字は御堂関白記から完全トレース

 暦上に使用した文字は御堂関白記として伝世した寛弘七年具注暦からトレースしたものを完全使用。より平安時代を感じていただける仕様としました。

※一部文字素材の流用がございますが、ご了承下さい。

​利用しやすい太陽暦に。

 摂関時代の具注暦の考証を徹底する一方で、暦法に関しては現代においてより利用しやすいものを志向して太陽暦(グレゴリオ暦)に改定しました。

全ての暦注を現代に。

 寛弘七年具注暦に書かれた暦注を全て2018年上半期に対照させ復元。選日は当時の制作テキストである西暦600年代成立の『大唐陰陽書』を定本に、『日本暦日総覧』で実際に発行された暦と校合して行いました。

​巻暦の装丁を徹底研究

 具注暦といえば巻子本での装丁。御堂関白記の装丁を復元することを目標にしました。翻刻版の御堂関白記をまず熟視し、さらに東大史料編纂所が所蔵するデジタルデータを現地で確認しまし、参考にしました。同時期の具注暦『水左記』の調査結果なども参考にしました。

​注意事項

・本製品はあくまで平安時代を中心に隆盛した具注暦の「復元」を目的としたものであり、吉凶判断を目的としたものではありません。

 ・本具注暦の内容は自己の責任でご利用下さい。具注暦に掲載された内容によりいかなる損害が生じだとしても、責任は負いません。

 ・暦注は具注暦の典拠である「大唐陰陽書」、「簠簋内伝」や現存の具注暦に則って配当していますが、実施された具注暦を重視して依拠したため、変則的な変化があります。

 ・なお、用紙のサイズ上、暦上に日記を書かれる場合はなるべく細く、硬めの筆ペンを使用することを推奨します。

 ・錯簡などがありましたらご連絡下さい。

​参考文献

順不同

山下克明『平安貴族社会と具注暦』2017臨川書店     山下克明『平安時代陰陽道史研究』2015 思文閣出版

大谷光男など『日本暦日総覧 中世前期1』1992 本の友社  大谷光男など『日本暦日総覧 古代前期1』1994 本の友社

渡邉敏夫『日本の暦 』1976 雄山閣            岡田芳郎『暦を知る辞典』2006 東京堂出版

湯浅吉美『暦と天文の古代中世史』2009 吉川弘文館    湯浅吉美「日本古暦の様式について」『埼玉学園大学紀要〈人間学篇(13) 41-54〉                 中村璋八『日本陰陽書の研究』1985 汲古書院

 須賀隆「具注暦の時刻表記について」『日本暦学会20』  陽明文庫『御堂関白記1、2』1983 思文閣出版

 東京大学史料編纂所・古記録フルデータベース      尊経閣文庫『水左記』2017 八木書店古書出版部

​「現代で役に立つか」そんなことは一切考えないで具注暦を再現してみた。

​(正誤表)

​上巻には誤記があります。

誤記の所在:巻頭 暦序

誤「歳徳在東宮戌」

正「歳徳在南宮丙」

 

誤「歳次鶉火」

正「歳次降婁」

ご迷惑おかけ致します。

​平成三十年具注暦(太陽暦版)上巻

​制作/北辰結

装丁/巻装手仕上げ

​法量/A4(縦210mm)紙継

発売/2017/11/23(COMITIA122)

​平成三十年具注暦(太陽暦版)下巻

​制作/北辰結社

装丁/巻装手仕上げ

​法量/A4(縦210mm)紙継

発売/2018/05/25

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